鷹の訓練(3)

鷹はそばにウサギがいても、空腹でなければ決して追いけようとはしません。

そこで、訓練と並行して、何度も絶食を繰り返して体の脂肪を削ぎ落とし、
狩猟本能を目覚めさせていくのです。

まず20日間の絶食、そしてお椀一杯200グラムの肉。
つぎに10日間の絶食、そして椀一杯の肉。

つぎ1週間の絶食、肉。

5日間、3日間と繰り返してギリギリの飢餓状態をつくっていきます。

餓死させてはなりません。
鷹は死の直前まで毅然としていますから、細心の注意が必要です。

鳴き声がかすれてきたり、口の中が白くなったり、
糞の色が緑色になったりすると非常に危険な状態で、
すでに手遅れという場合もありますから、
そうならないように常に注意深く観察していなければなりません。
鷹匠は、鷹の体調をコントロールすることに最も神経をつかうのです。

鷹の体重は、絶食によって夏の3分の2くらいになります。
一見残酷とも思える厳しい絶食ですが、
鷹と寝食を共にした絶対的な愛情の上に成り立っていて、
厳しさと愛情は決して矛盾するものではありません。

むしろ、厳しいからこそ信頼関係が生じ、鷹と鷹匠は一体になれるのだと思います。

そして一体にならなければ、良い狩りなどできるはずもないのです。

こうして仕上がった鷹と二人、いよいよ雪が降り積もった山へ狩りに出ます。




雪の上は獲物を見つけやく、道がないところも歩けます。
藪や潅木が雪に覆われ、木々も葉を落とした雪山は、
地上の小動物を追うクマタカにとって、絶好の狩りの舞台です。

もちろん、いくら雪山は狩りをしやすいといっても、
獲物がいなければ話に なりませんから、
鷹匠は獲物の生態に精通していなければなりません。

また雪山は非常に危険ですから、
山の地形を把握し、天候、気象の判定能力も必要です。

鷹狩りは、鷹への愛情と訓練技術、
さらにこれらの知識や能力が備わってはじめて可能なのです。

                                       
2002年12月15日
松原英俊

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