生計

テレビや雑誌などの取材を受けると、
必ずといっていいほど収入のことを聞かれます。
わたしはいつも正直に答えます。
するとなぜか、驚きと尊敬のまなざしが注がれるのです。



この時代、鷹狩りで得られる収入はほんのわずかです。

山の獲物も毛皮の需要も少なくなり、
鷹狩りは生活手段にはなりえない時代なのです。

もちろん講演や執筆などを含めて考えれば、
鷹匠を職業とすることがまったく不可能であるとは言い切れません。
しかし、鷹で獲物を獲る行為だけでは生活していけないのが現実です。

わたしは、秋の終わりから春先にかけては、
鷹(または鷲)の訓練と雪山での狩りが生活のほとんどを占めますから、
ほかのことはあまり出来ないのですが、
それ以外は、月山、朝日連峰などの登山ガイドや少年のキャンプ指導、
それに講演や執筆などで収入を得ています。

以前より多くはなりましたが、それでも年収は100万円がせいぜいです。

浩平が生まれてからは、妻がパートの仕事で支えてくれていますが、
都会の生活者には仙人家族に見えるようです。
税務署の人が毎年首をひねっているくらいですから、無理もありませんが。

わたしにとっていちばん基本的なことは、
自然の中で鷹匠として生きるということです。

もちろんお金があって困ることはありませんし、
できればいつもおいしいものを食べていたいと思います。
しかし、現在そういう状況にないのであれば、それは我慢しなくてはなりません。

わたしたち3人家族は月に10万円くらいで生活しています。

着るものはフリーマーケットや親せきからのお下がりで間に合いますし、
鷹と鷲の餌は不要になったニワトリやウサギを
いろんな方から提供してもらえるようになりましたし、
山は山菜の宝庫ですし・・・。

無理をしているつもりはありません。
ただ、自然の中で暮らすには、
自然の厳しさを受け入れる覚悟と自然を味方にする知識や経験が必要なことは
いうまでもありません。

そして、いかに自然の中の暮らしとはいえ、
やはり多くの人の好意に支えられているということを言い添えておきたいと思います。

どこで生きようとも、これは同じではないでしょうか。


2001年10月1日
松原英俊

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